2023/06/06
薬大選びに悩む人へ
ここでは、私立薬学部の選び方をお金と薬剤師国家試験ストレート合格率とで考えています。薬学部進学を考えている高校生、その両親の参考になればと思います。また、すでに卒業し薬剤師になった諸君が過去を振り返り、両親に感謝するきっかけとなればと思います。
今回の着眼点
前回アップした薬剤師国家試験ストレート合格率と6年間の学費の関係に続き、今回は6年間の学費ではなく、初年度納付額+家賃相場14か月分の関係をプロットしてみた。1年次にはいくらお金がかかるだろう?
前回👉薬剤師国家試験ストレート合格率と学費の関係(2023年度)
その昔、初年度納付額がメチャクチャ高い学校があったような?と、記憶をたどると第一薬科大学と昭和大学だった気がする。
現在はどちらの学校も他校とそれほど変わらない状態になっている。国から指摘されたのか、新設薬学部の乱立で学費のデフレ化が起こったのか?原因は定かではない。さすがに何十年も前の蛍雪時代など調べることもできず。何とか見つけ出した平成17年の資料がこちら
https://www.yakuji.co.jp/wpyj-002/wp-content/uploads/2005/09/g000000_20050901_p03.pdf
引用先の薬事日報 薬学生新聞 2005/09/01
納付金の内訳を見ると、入学金はゼロの大学から最高130万円まで幅があるが、40万円から60万円程度が多い。年間の授業料は100万円から200万円くらいであるが、大学によって施設設備費、実験・実習費、教育充実費などを別途徴収しているところがあり、これらを総合すると約170万円から500万円まで、かなりのバラツキが見られる。なお帝京平成大学、近畿大学、摂南大学、武庫川女子大学の4校は、人事院勧告や消費者物価指数などに応じて、納付額をスライドさせる方式を採用している。
とのことだ。募集要項に記載していないお金も入学後に必要になるかもしれない。そもそも、わが母校は教科書代が11万円であった。合格後に居酒屋で汗水たらして稼いだバイト代が吹っ飛び涙した思い出がある。憎き、日本薬局方。
教科書代についてはどこの大学も概ね10万円を覚悟しておいた方がいい。
グラフをプロットして思ったこと
初年度の学費と家賃は230~370万円の間で納まっておりそれほど大きな差を感じることはないだろう。しかし、6年間ともなるとやはり大きな差となってくる。しかもストレート合格率が低い大学ともなると留年、卒業延期する確率が上がり、さらなる負担の危険性が高まる。したがって、学費が多少嵩んでも合格率が高い学校に行くべきだ。
そう考えるとグラフの右下の大学がコスパが良いということになる。とはいえ、上位の慶応、星薬科、北里、明治薬科でも75~80%であり4人に1人はストレートで合格できないという厳しい現実が待ち構えている。
6年間の学費と初年度納付額+家賃相場14か月分を比較
初年度納付額を記載しているページは医学部受験ノートを引用した。
家賃相場は各大学ホームページ、SUMO、アットホーム、エイブル、ChatGPTを駆使し算出した。敷金礼金に関しては土地土地の風習があるため敷金1,礼金1とし家賃を14か月分として初年度とした。人工島にある神戸学院大学、兵庫医科大学は近くに物件が少なく、近くで住み着くならここだろうなという憶測で決めた。
昭和大学の1年次は全寮制なので寮費から大体の食費、生活費を差し引いて計算した。
グラフを比較してまず23区内にある星薬科、東京理科大学、帝京、帝京平成が家賃が高く6年間の総額(グラフ左)に比べて分布が上に移動する。(東京理科大薬学部は2025年より葛飾キャンパスに移転)
反対に、立命館、昭和大、名城、福岡、徳島文理(香川)は立地周辺の家賃が安く、下に移動する。ただ、昭和大は1年次のみ全寮制で安く済む一方、2年次からは東京23区に移動するため残り5年間を別途考えなくてはならない。
人工島のポートアイランドに位置する神戸学院と兵庫医科は周辺に物件がほぼなく、近くの繁華街の三ノ宮とした。三ノ宮は神戸の中では有名な繁華街のため家賃は高くその影響を受け若干上へ移動する結果となった。
日本大学と愛知学院大学の逆転現象
日本大学の年間の授業料はおよそ205万円。一方、愛知学院大学は222万円とおよそ20万円ほどの差がある。家賃はそれぞれ日大が6.5万円、愛知学院が5万円と大差はない。愛知学院の初年度はそれほど高くはないものの、授業料20万円の差が6年間で大きくなり、長い目で見た場合のコスパは日大の方がいいのかもしれない。ただ、家賃の差額1.5万円も12か月6年間、更新料も含めると100万円以上の差が出てくるため影響しそうだ。
まとめ
薬学部に行くために必要なお金は学費、生活費ともに6年間ともなると大きくなる。大学の立地でも生活費は大きく異なり、影響してくる。薬剤師国家試験ストレート合格率を考えるとさらに高額になることを予想しておかなくてはならない。留年などしていられないのだ。
家賃相場を初年度の経費として加算してみたが、よくよく考えると6年間で考えなければ意味がないかと、今更ながら思っている。次回は6年間の学費合計、入学金、家賃相場を加味してデータをプロットしてみようと思う。
P.S.家賃を調べていて思ったこと。都心の高層マンション価格が高騰する中、賃貸料もそれに引っ張られる形で高くなっているかと思いきや、一人暮らし向けの賃貸は思ったほど高騰していなかった。