2023/06/06
熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 増補完全版 (幻冬舎文庫) 新品価格 |
概要
大王製紙元会長の井川意高はギャンブル依存症に陥り、会社の金を使い込み逮捕され、有罪となった。生い立ちから収監まで、その経歴と当時の状況、心境について詳しく紹介されている。
自分がこの本を手に取った理由
2011年の逮捕劇から10年以上が経ち、メディアで井川さんを見かけることが多くなってきた。ホリエモンとの対談でムショ暮らしについて語っていたのがとても面白かったため気になっていた。100億円以上もギャンブルで熔かすような人間とはどんな人生を歩んできたのだろうか?
と思ったのがきっかけだ。そして、そこから何が学べるのだろうか?
ホリエモンと井川さんの対談をまとめた本👇にはホリエモンとの関係が色々記されていて面白い。本を読むよりもYoutubeにこの対談があるのでそっちを見た方がいい。
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感想
地方大企業の御曹司としての生い立ちが羨ましくもあるが、一方でゴルフクラブ片手に教育を施すスパルタ暴君親父の話は引いた、自分には耐えられないと思う。
そもそも井川氏は地頭がよく、何の準備もしないで受けた全国小学生模試で全国2位は神童すぎる。文系と本人は語っているが、右脳もおそらく強いのだろう。東大法学部を卒業した後、会社運営のために簿記を取得。大王製紙に就職し、平社員として一から現場で働いた。その際、工業系の知識が必須だったようだ。それも難なくこなしていたのだろう。
芸能界との接点も多く、当時よくテレビに出ていた芸能人の名前が本書にはたくさん出てくる。麻布十番で大暴れしていたようだ。グラビアアイドルだった「ほしのあき」がお気に入りのようだ。
私も学生時代、六本木、麻布十番に「英語の勉強のために外人をナンパしよう」という悪友にそそのかされ、戦いに行ったものだ。
英語は酒が入ると堪能になるという法則を導き出せた。
東京地検特捜部との事情徴収についても細かく語られており面白かった。
井川氏はいわゆるギャンブル依存症であった。私も今思い返せばギャンブル依存症に一時陥っていたのかもしれない。
院試の受験料を親に送ってもらったが、それをスロットで熔かしたことがある。
なんて親不孝な人間だろうか。いまだに罪悪感が拭えない。だが、その罪悪感のおかげですっかりギャンブル依存症から抜け出せた。
当時「ミリオンゴット」というスロット好きならだれでも知っている台が人気だった。そのギャンブル性がすごかった。大当たり10万円なのだ。
1度だけ神が降臨したことがあった。大当たり時は台が壊れているのではないかと思うくらいメダルが流れ出てくる。そして全知全能の神になったと錯覚してしまうくらい脳内にアドレナリン、ドーパミンが流れるのを実感した。
周りの連中が一生懸命スロットを回しているのを見ていると自分だけ大当たりしている優越感がたまらないのだ。
井川氏は合計106億8000万のお金を自分が社長である子会社7社から「新規事業のための運転資金」として借りていた。およそ1年3ヶ月間の借金の額を時系列で2ページにも羅列されていた。そしてその一つ一つの金額は凡人では信じ難い金額であった。
ギャンブル依存症と薬物依存症
薬物依存症でよく耳にするのはテレビに映っている注射を見ただけで鳥肌が立ちやりたくなるという。ギャンブル依存症も音楽や、光などでスイッチを押されることにより衝動が抑えられなくなる。
ドーパミンに支配され、逃げ道がなくなる人間の脳の怖いところでもある。
やめたいのなら環境を変えてスイッチを押されない場所に逃げるしかない。
週刊誌との戦い
「人の不幸は蜜の味」という言葉があるように、大金持ちの御曹司の失態を週刊誌が放っておくはずもなく、あちこち追いかけ回されたり、有る事無い事書かれたりと大変だったようだ。本書では週刊誌のウソ一つ一つを弁解しており、井川氏の怒りを感じることができた。
勝ち取れなかった執行猶予
106億8000万ものお金を井川氏は自分の資産を売却することで完済した。社会的制裁も受けており、執行猶予付きの判決を望んで最高裁まで控訴したが、棄却され、懲役4年の実刑判決が降った。
本書の最後は収監前の心情が記されており、4年後の再出発を誓って締め括られている。
まとめ
『本書で学んだこと、楽しめたこと』
大企業の御曹司に生まれた神童の山あり、谷ありの人生を楽しむことができた。ギャンブル依存症に陥るまでの過程、カジノのVIP待遇、戦後の高度成長期からバブルの崩壊、失われた20年の間の製紙業界の苦悩を学ぶことができた。
心に残った一節
カジノ王 スタンレー・ホーの名言
「客が勝って帰るのは怖くない。客にはいくらでも勝って欲しい。負けた客がカジノに来なくなるのが一番怖いのだ」
キーワード
🎰 井川意高さんは大企業大王製紙の元会長で、2011年にギャンブル依存症により逮捕された。
🏢 大王製紙はトップ3のシェアを誇る大企業で、2011年当時、井川さんは会長として活動していた。
💰 井川さんはシンガポールのマリーナベイサンズカジノで高額ギャンブルを行い、2000万から20億まで勝負を続けた。
💼 ギャンブル依存症のイメージとは異なり、井川さんは頭が良く、仕事もできる真面目な人物だった。
📚 小学校高学年の時、オイルショックにより商売が厳しくなる。
🏫 父のスパルタ教育で田舎から越境し、筑波大附属駒場中学校に入学。
🏫 筑駒高校は国立のエリート校
🎓 東大合格率が圧倒的で、東大に行かない方がマイノリティ
📚 生徒は自由な雰囲気で勉強を進める
👨🏫 一部の先生は個性的で、特異な授業を行うことも
🎯 東大法学部への進学がステータスで、官僚・キャリア養成を重視 🔝 筑駒の中でも東大法学部受験はエリート中のエリート
💪 家庭でも厳しい指導を受ける生徒も多く、英才教育が行われる
🏭 大王製紙は段ボールやティッシュ、トイレットペーパーの大手メーカー
📈 戦後に倒産した過去を持ちながらも、成功の道を歩む
📦 出版・商品開発で日本の大手製紙メーカーとしての地位を確立
🎯 東大合格と成功の道のり
🌟 自己反抗を超えて親父の教えを受け入れる
📚 コツコツ勉強し、東大現役合格
💼 若さで会社役員に昇進し、子会社再建
🚀 広告戦略でヒット商品を成功させる
👑 社長就任への成績と期待
🌪️ 成功にもかかわらず、何かが変わる
💔 ギャンブルに没頭し、問題が浮上
💰 大金を使い果たし、借金を抱える
最終的に特別背任容疑で逮捕され、実刑判決となり収監される
熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 増補完全版 (幻冬舎文庫) 新品価格 |