2023/06/06

先日、発熱と咽頭痛でクリニックを受診した40代の女性が処方せんを持っていらした。
解熱剤として処方されたカロナールを見るや否や
「カロナールは効かないからヤ~ダァ~」
と、子供のように言い放つ。
薬局で何年も仕事をしていると必ず経験する「効かないからこの薬ヤダ」
と言う患者様。気持ちはわからなくもない。しかし、頭の中の天使と悪魔が喧嘩を始める
悪魔「めんどくせー、黙って持っていけよー」
天使「疑義紹介して変更してあげたら?」
そこへ、眼鏡をかけ、白衣を着て秀才ぶったモラル君が天使と悪魔の間で、こう言う
モラル君「カロナールの使用意義を説明すべきでは?」と。
患者様はロキソニンを持っているのでそれを飲むからいらないと言う。
モラル君「確かに解熱作用としてはロキソニンの方がカロナールよりは高いよ、でも、腎機能障害や胃腸障害のリスクを考えるとカロナールが望ましいよ」
悪魔「そんなこと言ったって理解できねーよ。ロキソニン信者だよ」
天使「解熱剤としてロキソニンを服用するリスクを説明してあげて、それでもカロナールが嫌って言うなら疑義紹介したら?」
悪魔「ロキソニン飲みたいって言ってるんだから説明したところで同じだと思うがな、さっさと疑義紹介して削除すれば早いぜ、さっさと仕事終わらそ」
モラル君「40代の女性だったら小児での使用も視野に入れておくべきではないかい?小児領域で解熱剤はアセトアミノフェンが基本だね。ロキソニンに対する執着が高い患者様には子供も発熱してしまい、小児にロキソニンを使ってしまう危険性も想定しなくては。インフルエンザ脳症も視野に入れて考えなくてはですね。
それと、発熱時は食欲不振で食事を取れないこともあるよ、その場合はやっぱり、ロキソニンよりも…」
薬剤師は様々な考え方を持った患者様に適切に対処する能力が求められる。
このケースで患者様にとっての最適解はなんだったんだろう?
悪魔「カロナールが嫌なら処方せんを受け取ってすぐに、クリニック窓口で『この薬効かない』と言ってくれればいいのに。」
天使「先生には言いづらかったのよ。」
モラル君「窓口で言ってもすぐには変えてもらえないね。ルール上はもう一度診察室の中に入って医師と話さなくては。」
一般的に患者様は薬局で出された薬の現物を見て処方にクレームを入れるてくる。
医師としても処方内容には根拠があり、好き嫌いで服用を拒否されても困る。だから、処方する薬をひとつひとつ説明する医師もいるのだが、実際のところは、「喉の薬と咳止めと解熱剤出すねー。トローチも欲しい?」くらいしか言わなし、疑義紹介すれば「あ、いらないって?いいよ削除で」
と回答が返ってくるのがほとんどだ。
ただ、中にはカロナール飲むように説得してという医師もいるだろう。
だから薬剤師の存在意義があるのでは?と、葛藤している。
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