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血液型の相性にこだわった者の末路

time 2024/05/29

血液型の相性にこだわった者の末路

僕は幼い頃から「B型の女の子だけはダメ」と、母に言い聞かされて育ってきた・・・




おばあちゃんの血液型

我が家は典型的な直系家族だ。父方の祖父母、両親と姉、そして僕と犬。

母はおばあちゃんと仲が悪く、ていうか姑にいじめられている典型的な嫁姑戦争がウチにはあった。

父の帰りは遅く、僕は母がひとり涙を流している姿を何度も見ていた。

長男の僕を置いて出て行けと何度も言われていた。

もうお分かりいただけると思うが、そう、

おばあちゃんの血液型はB型だ

家族で唯一、B型だった。(他は皆A型)

昭和初期生まれのおばあちゃんに、温室育ちの母の言動は気に食わないことが多かった。母への不満がB型の血に染まって出力される。

おばあちゃん自身も

「アタシはB型だから合わないんだよ!」

と、A型の家族と折りが合わない事を常日頃言っていた。

僕は将来結婚する女性がB型だった場合、家族が皆、苦しい思いをすると思っていた。

B型の女性は喋る時に唾を飛ばすので電話の受話器が臭くなり、鼻くそをほじったらその辺になすりつけ、包丁のことを「ほうちょん」と言い、トムとジェリーを「トムとゼリー」と言うと幼ながらに思っていた。

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でも、おばあちゃんは僕には優しかった。『長男』『後継ぎ』みたいな概念が昭和のおばあちゃんにはあったのかもしれない。

思春期になると母が煙たくなってくるが、おばあちゃんはもっと煙たかった。

中学生にもなれば好きな女の子ができる。血液型チェックは必須であった。

失礼ながらB型という理由だけで告白を断ったこともある。

(本人にはその旨言っていない、他に好きな子がいると言った。てか、実際いた。)

B型の女の子といい感じになることもあったが、これ以上は…と思い避けていた。B型の血が半分入っているAB型の子ですら、少し敬遠していた。

それが僕の青春だった・・・

ChatGPT作「B型のおばあちゃん」

高校生になり、ある日おばあちゃんは自宅で「頭が割れるほど痛い!」と叫びながら嘔吐し、泡を吹いて気を失ってしまった。母は救急車に同乗し、病院に付き添った。くも膜下出血だった

一命は取り留めたものの、予断を許さない状況で、手術が必要と医師から告げられた。

数日後、おばあちゃんの看病から帰ってきた母が開口一番

「おばあちゃんA型だった・・・」

僕の青春はおばあちゃんの勘違いによって・・・

ガラスが割れるかのような衝撃を今も覚えている




その後・・・

おかげさまで目立った後遺症もなくおばあちゃんは回復した。

そして嫁姑戦争は終わることはなかった。

僕の反抗期も変わらず、「クソババァ!!くも膜下出血で死ね!」

と、喧嘩は絶えなかった。

そうこうしているうちに僕は大学進学で上京し、おばあちゃんと衝突することはすっかりなくなり平穏な日々を暮らせるようになった。

大学生にもなると、あちらでもこちらでも恋愛の話を耳にするようになる。そんな噂話には血液型相性問題がついて回る。

そんな話を耳にすると僕はいつもおばあちゃんの血液型の話をした。

オチが薄々わかっていても、母の

「おばあちゃんA型だった・・・」

の一言は滑らない。笑笑

大学の友達の血液型はほとんど覚えていないが、20年ぶりに中学の同窓会で再会した際、友達の血液型をほぼ言い当て、皆にドン引きされた。😅

B型的中率100%なのだ。




その後のおばあちゃん

僕が大学4年生の時、おばあちゃんは再びくも膜下出血になり、亡くなってしまった。

駅の切符売り場で倒れ、救急車で運ばれ一時は意識を取り戻したのだが、その後危篤状態になり・・・

 

おじいちゃんの看護疲れが原因だったのだろうか?

おじいちゃんは末期の癌で終末医療を受けていた。おばあちゃんは毎日看病に出かけていた。おじいちゃんはおばあちゃんがいないと何もできない人だった。

博学で色男だったおじいちゃんと押しかけ結婚したおばあちゃん。

「私と結婚してくれなかったら私は死にます!」

と、言ったそうだ。(年寄りの思い出話なので実際どんなだったかは不明)

色男過ぎて苦労したこともあっただろう。それでもおばあちゃんはおじいちゃんが大好きだった。

意識を取り戻したおばあちゃんは、自分の状況を何とか理解できているようだった。それでもおじいちゃんの事が心配で、「おとうさんはどう?」

と、言っていた。

 

数日後、おばあちゃんが入院している中、おじいちゃんは亡くなってしまった。

ショックが大きいだろうから、おじいちゃんが亡くなったことは言わないでおこう。と、家族で話し合った。

おじいちゃんの通夜が終わり、明日の葬式を待つ夜中におばあちゃんの入院先から連絡があった。

おじいちゃんの亡骸を従兄弟に託し、両親と病室に駆けつけたが、おばあちゃんは口を開けたままで、全ての管をすでに抜かれていた。

あの日、父が号泣している姿を初めて見た。父は両親を立て続けに失った。おじいちゃんはある程度覚悟していただろうが・・・

母はおばあちゃんに「おかあさん!ずるいよ!ずるいよ!」と泣きながら叫んでいた。

何がずるいのか?その真意は今になってもわからない。

あれほどいじめられたおばあちゃんにすがり、母は号泣していた。

僕は号泣する両親を目の当たりにし、泣くこともできず、あの日おばあちゃんに言ってしまった暴言が現実になってしまい、後悔した。

おじいちゃんが呼んだのか、おばあちゃんが付いて行ったのかわからないが、2人ともお互いの死を知ることなく逝った。

 

夜が明け、昼頃おばあちゃんは自宅に帰ってきた。

仏間にはおじいちゃん。居間にはおばあちゃんがいた。

慌てて駆けつけてくれた親戚のオバチャンを見た瞬間、我慢していたものがこみ上げ

「おばあちゃんも死んじゃったぁ!」

と、僕は泣き崩れた。

おばあちゃんを吐くほど嫌っていた姉も泣いていた。

 

あれだけケンカして、憎んでいたけど皆泣いていた。

なんやかんや、僕らは家族だったんだ…

と、しばらくたってから僕は気づいた。

おわりに

人の性格、価値観、相性を血液型で判断して幸せになれるだろうか?

もし、血液型で悩んでいる人がいたら僕のおばあちゃんを紹介してあげたい。